ラオスでは国民の生活、経済において農業が非常に大きな役割を担っており、海外からの投資も多く見られます。
その中には、大規模ゴム農園をはじめとした植林事業も含まれています。ただ、中国・ベトナムをはじめとしたこれまでの植林は環境保護を考慮したものではなく、むしろ森林を伐採し植林をしないまま放置する例があるなど多くの問題を抱えていました。
今後は、こういった大規模な伐採や焼畑農業の拡大によって失われつつある森林を取り戻す形での植林事業が望まれています。
既に日系企業によって取り組まれ、CDMも検討されている例として、ラオス中部カムアン県及びボリカムサイ県における王子製紙の植林事業を挙げることができます。
王子製紙は5万haの土地コンセッションを取得し、ユーカリやアカシアなどの早生樹種を2005年から植林しています。
これらの樹種は植付け後7年で伐採が可能で、2012年から伐採をはじめる予定です。この事業によって正社員160人、臨時雇用2000人の雇用が生まれ、今後5000人くらいまで拡大する見込みだということです。
さらに、地域住民及び周辺環境への配慮として1haあたり50ドルの社会貢献費を拠出し、井戸・道路の建設、学校建設用資材提供、コミュニティセンターやゲストハウス建設、無料での健康診断の提供など様々な社会貢献事業を行っています。
今後は南部でも新たに5万haの植林を行い、チップ事業に留まらず林産加工事業を発達させていきたいという展望を持っています。
王子製紙がラオスに進出した理由は、ASEANにおけるラオスの優位性に注目したからだと言います。何より人口が少なく未利用地や焼畑耕作跡地を容易に確保し長期にわたって利用することができる、ということが大きな魅力です。
また、降水量、地力が十分にあり植林木の成長性が高いこと、東西回廊をはじめとしたロジスティクス整備による輸出環境改善、政治・経済的な安定度の高さなどがラオスの優位性として指摘できます。
一方で最近は、近隣諸国からの投資増大によって土地の確保を巡る競争が激化していることに加え、住民自身による土地の利用開発の傾向も高まっているらしく、土地の確保が徐々に困難になってきているようです。 |